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以前ブリーダーをしていた経験上、お問い合わせが多かった「愛犬の出産にまつわる費用や手続き等」をちょっとまとめてみました。お役に立てる情報があれば幸いです。
下記の金額や制度等については2005年時点での内容です。規則や手続きの内容は常に改正されていくものですので、あくまでも参考としてご覧いただき、実際に手続きされる際には必ず所属クラブやJKC本部で事前にご確認ください。(JKCの会員になると会報が送付されてきます。この会報内には最新のお知らせが掲載されていますのでこちらもご確認を)
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1.子犬に血統書を発行する場合
産まれた子犬に血統書を発行する場合は、まず「JKC」(ジャパンケンネルクラブ)に入会しなければなりません。新規入会は愛犬クラブのいずれかで手続きをして、クラブ構成メンバーとして所属することになります。ほとんどの手続きの窓口はこの所属クラブで行うことになります。
所属する愛犬クラブは、ジャパンケンネルクラブ(JKC)本部へ電話で問い合わせをすると、近くのクラブを教えてくれますので、その場所へ出向いて行き、必用な書類と代金を渡して手続きをしてもらうことになります。その手続きをしてもらったクラブ=所属クラブとなります。
(ただし、出来上がった血統書や書類などは所属クラブは通さずJKCより直接送付されてきます)
■「ジャパンケンネルクラブ(JKC)」 TEL:03−3251−1651(代表)
内容によって連絡先が異なりますが、「○○についてお伺いしたいのですが・・」と言えば、担当の課へ回してくれます。JKC本部というと敷居が高いように思いがちですが、スタッフの方が親切に応対してくれますので、登録関係についてのわからないことは、遠慮せずに問い合わせましょう。アレコレ自分で調べるより早いです。(メールでの受付はありませんので、すべて電話になります)
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2.血統書を発行する為に必用な手続き&料金
まずは1番気になるところの各手続きの料金についてまとめてみました。
(各項目の詳細は下記JKCHPの各ページをご参照ください)
血統書を発行する為に必用な手続き&料金(JKCの場合) ※2005年時点での金額です
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手続き内容 |
料金 |
備考 |
1 |
■会費関係 |
入会金 |
2,000円 |
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年会費 |
4,000円 |
2年分以上を一括納入の場合、2年目以降は3,000円 |
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2 |
■名義変更料金 |
期間内 |
1,100円 |
血統証明書発行日から6ヶ月以内の申請 |
期間外 |
3,200円 |
血統証明書発行日から6ヶ月以降の申請 |
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3 |
■犬舎名登録料 |
8,000円? |
8,400円だったかも?すみません、忘れちゃいましたが、これくらい必用です |
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4 |
■DNA登録料 |
7,500円 |
オス犬(父犬)のみ必ず必用
事前に名義変更を完了させていなければならない |
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5 |
■一胎子登録料 (血統書発行料のこと) |
期間内 |
2,100円 |
生後90日以内の申請の1頭分の料金(3代祖) |
期間外 |
5,300円 |
生後91日以上の申請の1頭分の料金(3代祖) |
※この他には交配料や獣医さんにかかる経費が必用です。
(レントゲン代、断尾代金、帝王切開になった場合など)
※各項目の詳細はJKCホームページをご参照ください。(JKCHPは無断のリンクが禁止になっていますのでJKC又はジャパンケンネルクラブで検索してくださいね)
■1:会費関係
JKC TOPページ→■所有者名義変更と入会のご案内→「JKC入会案内」(ページの上にあるタブで「名義変更」と切り替え)
■2:名義変更・・・名義変更届は血統書の裏面を使用します。詳細はお手持ちの血統書の裏面をご覧ください。
JKC TOPページ→■所有者名義変更と入会のご案内→「名義変更」(ページの上にあるタブで「JKC入会案内」と切り替え)
■3:犬舎名登録
苗字にあたる自分の「犬舎名」(けんしゃめい)を登録します。全てアルファベットの大文字表記になります。
登録時に犬舎号を犬名の前につけるか後につけるかの選択ができます。
※例:(「ALICE」が犬名、「PURELY JEWEL」が犬舎名の場合)
ALICE OF PURELY JEWEL JP (犬舎名を後にした場合)
PURELY JEWEL JP ALICE (犬舎名を前にした場合)
詳細、注意事項については登録申請用紙に書かれています。(手元にないので掲載できないのですが・・)
登録が完了するとこのような「犬舎名登録証明書」(2枚)が送られてきます。
■4:DNA登録
JKC TOPページ→■お知らせ →「DNA登録について」・・・父犬に必用なDNA登録についてはここに書かれています
■5:一胎子登録・・・詳細はこちらの「一胎子登録申請書の見本」をご覧ください。
JKC TOPページ→■お知らせ →「血統証明書が新しいデザインになりました」
(2006年5月1日より実施)
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3.本当にお産をさせますか・・・?
犬は安産の象徴のように見られがちですが、出産には常にリスクがつきまとうということを覚悟してください。特に体の小さい子や頭の大きい犬種の場合は難産になる可能性が高いです。
また、帝王切開で生まれた子は、その子もお産の際には帝王切開になる可能性が高いようです。
最悪の場合は子犬のみならず、かけがえのない愛犬(母犬)までも失ってしまう可能性もありますし、たとえ両親犬が健康だとしても、奇形の子が出来ないとも限らない、ということを忘れないでください。
お産の際には1〜2日徹夜になる覚悟も必要です。せっかく生まれた命を亡くさないためには常に気を張る必用があります。また、離乳の時期になれば離乳食を食べさせなければなりませんので、日中家に誰もいない状況というのは厳しいと思います。
それから、生まれた子犬の引き取り先についても事前に考えておかなければなりません。
あっという間に子犬は大きくなります。大きくなればなるほどオーナーさん探しは難しくなってきます。
また、ペットショップはもちろんのこと、多数の繁殖をされている方のみならず、一般の愛犬家が自宅で繁殖をして有償で譲渡したりショップなどに販売している場合(環境省では、年間2回または2頭以上の繁殖・販売としています)においても、「動物取扱業」の登録が必用になります。
もし無登録で営業を行った場合には30万円以下の罰金が課せられる場合もあります。
以上のことを踏まえた上で、本当に愛犬にお産をさせるのかを今一度よく考えて頂きたいと思います。
■「動物取扱業登録」の詳細は
JKC TOPページ→お知らせ→改正「動物の愛護及び管理に関する法律」(動物愛護管理法)について
登録は事業所の所在地を管轄する保健福祉事務所(保健所)衛生グループで登録申請が必要になりますので、登録の詳細については下記各行政担当組織へお問い合わせください。
地方自治体(都道府県・指定都市・中核市)動物愛護管理行政担当組織一覧
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/local_gov/index.html
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4.予備知識
←お勧めの本がこちら。
愛犬の繁殖と育児百科 愛犬の友編集部 2,310円
全般に渡りかなり詳しく書かれていますので、少々お値段はお高いですが中途半端な本を何冊も買うよりはこの1冊を購入された方が役に立つと思います。
ただ、お産の際に「産箱の中には細くさいた新聞紙を敷く」という記載がありますが、これは赤ちゃんにベタベタくっついてうっとうしいので、バスタオルを敷いたほうがよいです。清潔なものなら使い古しのもので構いません。使い捨てにしますので胎児の数だけご用意を。
他詳しい説明はこの本に譲るとして、後は簡単な注意点などをご紹介しておきます。
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5.交配について
まずはお相手を探さなければなりません。犬種によっては、タブーになっているかけ合わせなども存在しますので、事前によく確認することが必要です。
ブリーダーさんなどのプロにお願いする場合は問題ありませんが、相手がお友達など素人さんの場合、血統書の発行には父犬の「DNA登録」が必須になりますので(もちろんJKCへの入会・名義変更も必要)、その登録に係る費用についての話し合いが必要でしょう。(交配料に含めてこちらが支払うのかなど)
中には交配料のかわりに「子返し」(生まれた子犬を1頭渡す)を望む方もいらっしゃいますが、これはたくさん生まれた場合は問題ないのかもしれませんが、1頭しか生まれない可能性もあるわけですからよく考えてくださいね。
ブリーダーさんなどのプロにお願いする場合は、交配時期や注意点などについても色々教えてくれると思いますが、中にはタチの悪い業者もいますので気をつけてください。このブリーダー業界は非常に特殊で閉鎖的な業種ですので、あまり情報が外に出ません。ですので、内情に詳しい所属クラブで評判を聞いてみたり、良いところを紹介してもらうのが1番安全かもしれません。
▼交配を申し込む前に、最低確認した方が良いこと
■1:「交配証明書」と「証明写真」をその場でくれるのか
「妊娠を確認してからでないと発行しない」、「交配写真もなし」というようなところは信用できません。
必ずその場で両方ともみみを揃えてくれる所を選ぶようにしてください。
(交配の立会いをしない場合は、交配した証明として写真をつけるのが通常です)
※交配証明書とは? →「一胎子登録申請書」内に記入欄があります。
(一胎子登録申請書の見本はこちら)この書類は血統書の申請時に使用しますので、大切に保管しておいてください。所属クラブに提出する際には、コピーしたものを保管しておくようにしましょう。
■2:1回がけ、2回がけ?
交配を2回するなら別料金というところもありますので、事前に確認を。
■3:不妊だった場合の再交配について
不妊だった場合、次回の交配は無料なのか、これも確認しておいた方が安心です。この場合、前回の「交配証明書」の提示を求められると思いますので、もし不妊だったとしても大事に保管しておくようにしてください。
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6.お産が近づいたら
出産予定日は交配日から63日目になりますが、実際には2日ほどズレることが多いので準備は早めにしておきましょう。
■1:出産予定日の10日〜1週間前くらいから、朝晩2回検温を
動かないように体を押さえて体温計を肛門に差し込んで検温します。
この際、体温計の先にラップを巻くと体温計が汚れないので便利です。
お産の兆候を見逃さないための検温ですので、慣れないうちは痛そうだし暴れるし可愛そうに思いますが、毎日しているとわんこも慣れてきますので心を鬼にして測ってください。
■2:出産予定日4〜5日前になったらレントゲンを
胎児の数の確認、向き、骨盤の広さ(自然分娩が可能か)などがわかります。胎児の数がわかっていないと、お産が終わったことがハッキリせず困ったことになりますし、骨盤の広さを獣医さんに見てもらうことで自然分娩が可能かの判断ができます。
胎児の頭が下を向いている場合は頭が出ればあとはするっと出ますが、足が下に向いている場合はひっかかって難産になる可能性がありますので、その場で獣医さんにひっかかった場合の対処法などの指示を仰ぐようにして、お産の際には注意するようにしてください。
獣医さんで「レントゲン」を撮ることで、獣医師の方も「お産があるんだな」ということを知ってもらえますので、「何かありましたら連絡しますのでよろしくお願い致します」と一言お願いしておき、お産の際に不安なことがあった場合はすぐに電話をして聞くようにしましょう。
(夜間や休日にも連絡可能で信頼できる、かかりつけの獣医さんを選んでおくことももちろん大事です)
■3:お乳の回りや陰部の毛は短く
毛が長い犬種の場合は皮膚を傷をつけないように注意してバリカンなどで刈っておきましょう。
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7.出産後の注意
■窒息に注意
出産後は母犬の下敷きにならないよう、気をつけてみているようにしましょう。母犬は出産後にはまた体温が上がり、お乳にも熱を持つので非常に暑がって敷物をめくろうとするので、子犬がその下敷きになってしまうことも多々あります。また、母犬からはぐれてしまっている子がいないかも注意してみるようにしましょう。(生後しばらくは自力で体温調整が出来ないため、寒い時期は母犬にくっついていないと体温が下がって死んでしまいます)
■毎日体重測定を
キッチンスケールで量れます。体重が増えていない場合は注意が必要です。獣医さんに指示を仰ぐようにしてください。※せっかく生まれた命を亡くさないよう、とにかく細心の注意を払うようにしてくださいね。
■「断尾」は1週間以内に
「断尾」(だんび=尻尾を短く切ること)が必用な犬種は生後1週間以内に行います。獣医さんによっては予約制になりますので、生まれたらすぐに予約を入れるようにしましょう。中には断尾は反対ということで、受け付けてくれない獣医さんもありますので、事前に料金も含め確認しておくようにしましょう。(料金は1頭あたり2,000円前後(税抜き)程度だと思います) 通常は子犬だけを連れて行きますが、心配な場合は母犬も一緒にケージに入れて連れていっても構いません。
■オーナーさん募集に有効なサイト
ドグー.com http://www.dogoo.com/ 内の出産情報コーナー
このサイトはアクセス数が非常に多いのでお勧めかなと思います。規約が以前と変わっていなければ無料で掲載できます。(有料掲載もあり)利用方法についての諸注意事項は上記サイトでよく御確認ください。
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以上、思いついたことをおおまかにまとめてみましたが、ちょっとでもご参考になる内容があれば幸いです。
上記内容はあくまでもご参考までに掲載したものですので、自己責任でのご利用をお願い致します。
書類関係はJKCや所属クラブに、出産については獣医さんに確認・相談するようにしてくださいね。
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